鴨川市棚田オーナ一利度のとりくみ

摘要

大山千枚田は千葉県鴨川市の最西部の大山地区釜沼地先、県最高峰の愛宕山（408）の麓に広がる棚田群である。面積は3．2で大小375枚の棚田が標高差60に階段状に広がる。鴨川市は海岸部の観光施設の知名度が高く、海の町のイメージが強いが、海岸線より西に水田を中心とした農村地帯が広がっており、平坦地の終わる谷あいに多くの棚田が存在する。 その中でも大山千枚田はまとまりの大きな棚田群で、一枚ごとの田hぼの面積は小さく、農業生産性は低い。 しかし、その景観は特に美しく、それぞれの田hぼが独自の曲線美を描き、階段状に連なっている。 また、田hぼ越しに見える対岸の里山と空が織り成す四季折々の景色は、一年を通して訪れる人びとを魅了する。 平成14年には県指定では珍しいとされる「名勝」として千葉県文化財指定をされている。 また、平成11年に農林水産省の「日本棚田百選」にも認定されているが、ここの棚田は、その中でも唯一「天水田」といわれ、雨水のみで耕作されており用水路が存在しない。 それは、ここが嶺岡山系独特の蛇紋岩の風化した強粘土質の土壌で、漏水が少なく、春先降った雨水を蓄えて稲作ができる場所なのである。また、その土壌は美味しいお米を育てるといわれている。 「長狭米」は「日本のお米百選」にも選ばれているが、その中でもこの地域のお米のおいしさには定評がある。 全国で棚田のような耕作不利地が放棄されていくなか、割合耕作が続けられてきたのは食味のよさゆえのお米の引き合いがあったからである。