輸出国の価格が最終製品価格に波及するプロセス: 飼料原料価格の畜産経営への影響

摘要

日本の飼料用トウモロコシゃ大豆は、ほぼ全量を入に依存しているため、海外の穀物価格の高騰、日本の配合飼料価格高騰の大きな要因となる。その実際のプロセスと日本の畜産経営への影響を分析、検討する。2007年後半以降の穀物価格高騰は、米以外の穀物の多くを輸入に依存している日本の農業、食品関連産業および消費者に少なからぬ影響を与えてきたとされる。なかでも畜産業は、飼料原料として多くの輸入穀物を使用する産業であり、価格高騰の影響が大きい産業のひとつと考えられる。トウモロコシおよび大豆の国際価格と配合飼料価格(全畜種平均)の推移を示るのは、配合飼料の原料構成比のうち、こうした穀物の割合が大きいためである。全畜種平均の配合飼料の原料構成比は、トウモロコシがお％、大豆を搾油した後の粕である大豆油粕がM%、トウモロコシに類似した穀物であるソルガムが6%等となっており、これら3種類だけでも配合飼料のJs%を占めている(2011年、農林水産省「飼料月報」)。乳用牛向けや肉用牛向けの配合飼料はこれらの比率が低く、代わりに大麦やふすま(小麦の糠)の使用量が多いが、養豚用、成鶏用、プロイラー用については、右記3種の比率がとくに高くなつている。