有機米と慣行米の窒素安定同位体比，無機元素，残留農薬濃度の比較

摘要

有機JASマークは厳しい生産基準をクリアして生産された有機（オーガニック）食品の証とされる．その中でも有機農産物は，「種まき又は植え付け前2年以上，禁止された農薬と化学肥料を使用していない田畑で栽培する」「栽培期間中も禁止された農薬，化学肥料は使用しない」「遺伝子組換え技術を使用しない」と規定されている．有機JAS規格の認知度が高まる一方で，不適正な格付，表示事例もあり，実際たとえば，有機農産物の認定生産行程管理者である農園が有機農産物ではない米に不適正な格付を行い，「有機栽培米」と表示販売していた事態も報告されている（農林水産省2007）．農産物の安全と信頼性を確保するためには，制度による規制も重要であるが，それの裏付けとなる科学的根拠が存在することは不正の抑止力として活用できることからも，是非必要である．