ブラジル，サンパウロ州グァタパラ日系移住地での研究実例〔24〕－塩加の施用が過剰施肥土壌での雨季作トウモロコシの生産性に及ぼす影響（6）－

摘要

本稿では，主にトウモロコシ収穫後における塩加処理区別の土壌の交換性塩基類や交換性H＋Alの動態について報告していく．今回の試験では，過剰施肥土壌での塩加施用によるトウモロコシの増収を期待することは残念ながらできなかった．しかしながら，この試験の目的は，作物の増収も大切であるが，ドロマイト由来のCaやMg等による過剰施肥土壌環境下において，「施用塩加によってこれら成分を土壌下層に溶脱させることができるかどうか」にある．少し余談となるが，実際問題，塩加の増施によって，トウモロコシ中のFe過剰吸収を抑える可能性が示唆されたことは前報においても報告してきた．これは，一つの有益な収穫の一つであり，可溶性Feの含有量が高いブラジルの赤色ラトソルの合理的な施肥を模索、確立していくことの他，作物によるCaやMgのような塩基類の吸収バランスを考えていくうえでも，カリ肥沃度を高めることは重要な事項であると考えている．