屋外空気中水分に含まれる無機元素濃度の変動〔1〕 －夏季における山林と地方都市内住宅団地の比較－

摘要

私たちの生活環境を包む空気の質は，場所によってかなり変動があることが昔から感覚的に知られている．真夏の炎天下で1ha水田圃場で水稲の生育調査をしたときと東京、銀座を散歩したときで比較すると，身体や精神的の疲労度，気分が違ってくる．これは，ヒートアイランド現象のみでなく野外の空気の質の違いから生じていると考えられる．この性質の違いが解明されれば，屋外空気の性質を利用した農村部過疎地の限界集落リサイクルや国土の有効利用が可能になると推察された．　この空気の質には，気温，湿度，降水量，風力などの物理的な性質と，最近話題になっている森林浴，生気侯などに代表される生物的な性質，そして，空気中に含まれる各種元素や化合物の濃度などによる化学的な性質というように，．3種類の性質があると考えられる．物理的な性質や生物的な生質については，さまざまな情報がマスコミなどで報じられているが，化学的な性質についての解明，とくに無機元素については不明な部分が多いと推察される．