(公益社団法人）日本技術士会による農業テキスト 『農業.農村.食料をめぐる事情』の紹介一農業及び蚕糸科目一（10)【II.農業一9】コメ，果樹，野菜の収穫量の推移

摘要

コメは我が国の主食であり，アジアのモンスーン 気候地域等で広く生産されている.コメの品種は， 明治時代までは各地において多種多様なものがあつたが，1950年代にコシヒカリが育成され，全国 に浸透した.この30年間のコメの収穫量の推移を みると，1985年の1,161万tから次第に減少し，2015 年には799万tとなっている.近年，多くの新しい 品種が育成されており，名前も新潟県の「新之助」， 山形県の「つや姫」，青森県の「青天の霹靂」，北海 道の「ゆめびりか」，福井県の「いちほまれ」など が報告されている.食味については，粒が大きく，かつ，粘りが強い品種が好まれ，もつちりした味に 変わってきている.また近年は飼料用米の生産が急 激に増加しており，2015年の収穫量は，44万tになっている.なお，飼料用米は玄米の部分だけでな く，茎や葉を含めて牛の飼料にする場合もあり，玄 米の収量の多い「タカナリ」や，植物体全体の利用 を考慮した「モミロマン」などの品種が育成されて いる.