K県酪農経営におけるTMR導入状況と特徴

摘要

新たな食料農業農村基本計画においては，食料自給率の向上が重要な課題の一つであり，畜産経営においても飼料自給率の向上が求められているところである．ところが農林水産省によれば1）酪農経営における飼料自給率は平成18年度の全国平埼で33．4％，北海道で52．6％，都府県で15．4％であり（TDNベース），この水準は年々低下を続けている．このような飼料自給率低下の要因として頭数規模拡大に見合った飼料生産部門の拡大がなされていないことが挙げられ，コントラクタの整備による粗飼料作外部化やトウモロコシ等，長大飼料作物の栽培拡大，耕畜連携による水田飼料作の拡大等が有効と考えられている．しかし，飼料全体に占める粗飼料割合は全国平均では46．6％，北海道では55．5％，都府県では38．1％であり2），北海道を除いては現在の酪農飼料給与体系は濃厚飼料主体と言える．また，濃厚飼料の多くは輸入穀物が供給源であることから，粗飼料生産の拡大だけではなくこれら濃厚飼料の一部を食品残さ等の国内未利用資源で代替する3）ことは飼料自給率向上に対して大きく貢献すると考えられる．ところで，食品残さのなかにはその水分率の高さや嗜好性から単品給与が困難なものがあり，他の飼料との混合給与が必要な場合がある．TMRはこのような単品では給与が難しい飼料の利用に適した給与方式であり，今後の食品残さ利用においてもその重要性は高い．