「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」の概要—農業用ため池の適正な管理を目指して一

摘要

水田を主体とするわが国の農業において，水源の確保 と取水方法は，時代の経過とともに発達し.変遷の段階 を経てきましたが，その最も確実な方法として，農業用 ため池（以下「ため池」とレゝう。）が数多く造られてきた。令和元年5月の調査によると，ため池の総数は約16万 7千か所に及hでいる。わが国は，南北に細長く地形がきわめて急峻であるた め，河川の流路延長が短く，勾配も急である。したがつ て.降雨があっても，その流出が早いため.農業用の水 源として降雨を貯めるためのため池が築造されてきた。地域別にみると，ため池の多い地域は，古くから開発 された近畿地方及び降雨量の少ない瀬戸内地域で，瀬戸 内地域で約半数を占めている（図1)。