コメント：地方中小都市および周辺農村の視点から

摘要

農村計画学会2007年度春期シンポジウム「農村からみた国土形成計画」の基調講演および報告を，おおよそ以下のように拝聴した。 まず，基調講演の「新しい国土形成計画の策定について」（鳥飼哲夫）は，第一次から第五次までの全国総合開発計画（全稔）を概観した上で，それに代わる国土形成計画の意義を説いた。 第一報告の「農村地域の現局面と国土形成計画の課題」（小田切徳美）では，市町村合併の進む西日本の中山間地域を中心に，数集落単位での共同活動の再編などに新しい自治の可能性を探っている。 第二報告の「地域防災力と地域の安全性」（春山成子）は，2004年に福井県で発生した水害の調査結果をふまえ，とくに都市型水害の防災の視点からハード整備の必要性について述べられた。第三報告の「国土形成計画と市町村レベルでの課題一農村集落を対象として岬」（池連このみ）は，国土交通省の調査対象集落6万余のうち，65歳以上の人口割合が5割を超える「限界集落」が1剖以上ある現状と，今後の課題を示した。 新しい自治のあり方を提示した点では小田切報告と共通している。