中山間地域の潜在力を引き出す農村協働力の活性化一山王寺棚田（島根県雲南市）の取組プロセスから考える地域政策の一視点一

摘要

島根県は，全国で初めて中山間地域の活性化に向けた 条例を定めた県である。これは，食料、農業、農村基本法の公布よりも早いものだが（平成11年3月），県土面 積の約9割，経営耕地面積の約6割を占めるとともに人 口の半数が居住する中山間地域を抱え，全国に比して高 齢化が進行する我が県として，その活性化を図ることは 待ったなしの課題であつたと考えるに難くない。とりわ け農業に関して言えば.急峻な山間地においても棚田が 拓かれるなど古くから米主体の土地利用が行われてお り，稲作単一経営の割合が7割超といったデータに見ら れるように，人々の暮らしに密接に関わり，公益的機能 を有する水田農業の在り方が，地域社会の維持存続を考 える上で重要だつたといっても過言ではないだろう。