散居集落の景観保全に向けた屋敷林における住民意識及びその分布，植栽形態と景観施策に関する研究－岩手県月日沢田丁を車例たして－

摘要

豊かな農村景観を貴重な地域資源として捉え，地域住民のアメニティ，アイデンティティの向上のみならず，郡市と農村の新たな共生関係を構築し，農村の活性化につなげようとする動きが活発になってきている。 なかでも，グリーン，ツーリズム（緑豊かな農山漁村において，その自然，文化，人々との交流を楽しむ余暇活動）の促進に，地域活性化の方策としての期待をかける気運が高まっている。 しかし，日本のグリーン，ツーリズムに提供される農村の整備は，現在十分とはいえない。 特にグリーン，ツーリズムにおいては農相らしさを醸す意味での良好な景観の存在が重要となる。 農村景観とは長年にわたる農村住民の生活，生産活動を通じて，人間と自然環境の密な関係の上に成り立ってきたものであり，このことを踏まえた地域づくりこそが自然環境を保全し，一方で住民の豊かな生活を保障することにもつながる。 このため，それぞれの地域固有の農村景観についてその特性を明らかにしたうえで，維持，保全に必要な施策を検討することが重要となる。