被災コミュニティの復興と農村計画的支援: 村計画学は震災の現場にどのようにアプローチしたか

摘要

本稿に与えられたテーマは，「農村計画学は震災に対 してどのような貢献ができたか」である。このテーマに 対し，筆者が関わる岩手県沿岸南部の漁村集落における 復興の歩みと，外部（有識者）支援者の役割を整理し， 平時の地域づくりと復興のプロセスの違いや，復興におい て特徴的に表れる課題と対応を整理することで応えたい。2大船渡市三陸町越来喜地区崎浜集落の概要崎浜集落は岩手県沿岸南部，大船渡市三陸町に位置す る世帯数約200世帯の漁村である。世界三大漁場にも数 えられる豊かな漁場に面し，かっては定置網で栄え，映 画館ができるほどの賑わいがあつたという。しかし昭和 40年代以降は漁獲量も減り，近年は人口減少や少子高 齢化が課題となりつつあった。