農村景観についての多様な認識: 三重県伊賀市調査から

摘要

景観法は農村地域をも対象にしているが，農村地域の 景観について何を対象に如何に計画するかについては， 近江八幡市丸山地区の計画事例があるものの不明確であ る。農村景観の多様性や由来に根ざした農村景観の賛美 については幾多の資料があるものの，景観計画の参考に なるような基礎的な研究成果は少ない。伊賀市でも伊賀 上野のお城周辺の城下町景観については早くから景観条 例を制定し，施策を講じてきたが農村地域については全く手つかずのままである。そこで，伊賀市農村地域の景観計画の基礎的資料とすべく，伊賀市農村の3地区を対 象に農村地域の景観構成要素の分析，農村景観について の農村居住者の認識及び都市住民として三重短期大学学 生の認識をアンケ一ト調査及び農村景観の形成基準の検 討を行った。この論考では農村地域の景観構成要素分析と景観認識に焦点をあてて，いわば「ふるさと景観」を 農村地域の人は如何に認識しているカゝ，その地域に無関 係な都市住民が期待する農村景観とは何かについて述べ てみたい。