津波、放射能汚染からの福島農業復興の課題と復興モデル-東京農大、東日本支援プロジェクトの経験から-

摘要

東日本大震災は、福島、宮城、岩手、茨城、千葉などの東日本の地域に想像を絶する被害を及ぼしたが、特に地震、津波、放射能、風評という四重苦の被害を受けた福島の復興には多くの困難な諌題が立ちはだかつている。福島の復興に関わる者全員が感じる強い使命感と無カ感、閉塞感が入り交じつた不思議な感覚は、目に見えない放射能との戦いからもたらされるものであろう。地震、津波からの復活には二年から三年が勝負であり、五年で新しい農業を確立できる可能性がある。しかし、放射能との戦いは半世紀以上も続く戦いであり、放射性物質からの解放とそれに伴う風評、信頼喪失からの脱却が不可欠である。さらに、立ち入り禁止区域、避難地域などに指定された地域では故郷の喪失が、計画的避難地域や作付け禁止区域では農林業生産活動事態が禁止され、担い手の流出、やる気喪失といった深刻な問題が発生している。