ランドレース種と大ヨークシャー種における妊娠末期と授乳期の飼料摂取量と授乳 . 繁殖成績との関連性

摘要

本研究の目的は，ランドレース種と大ヨークシャー種間で，（1)妊娠末期の飼料摂取量と授乳期飼料摂取量を比較すること，（2)妊娠末期の飼料摂取量と授乳期飼料摂取量の関連性，（3)授乳期飼料摂取量と分娩 後繁殖成績の関連性を調査することであった。本研究は，平均500頭の繁殖雌豚を飼育する繁殖農場で行われ た。本研究で用いた752頭における妊娠末期と授乳期の飼料摂取量の記録は，記録ソフトから抽出された繁殖成績と統合された。妊娠豚が分娩舎へ移動された時の平均妊娠期間（+-標準誤差）は，109.7+-0,06日であつ た。妊娠末期の平均飼料摂取量は1.7+-0.01 kgであり，授乳期飼料摂取量は5.3+-0.03kgであつた。妊娠末期 の平均飼料摂取量は品種間で差がなかった。しかし，ランドレース種は大ョ一クシャ一種よりも，授乳期平均 飼料摂取量が少なかった（P<0.05)。妊娠末期の飼料摂取量は，分娩後の繁殖成績とは関係がなかった。授 乳期飼料摂取量は，補正21日齢の離乳体重とは正の関係があつたが（P<0.05),離乳後初回交配日数や分娩 率，次産次生存産子数とは関連がなかった。さらに，授乳期平均飼料摂取量がlkgあがるにつれて，補正21 日齢一腹子豚体重はそれぞれ，ランドレ一ス種では4.8 kg，大ョ一クシャ一種では7.6 kg増加した。結論とし て，本研究の結果から，妊娠末期の飼料摂取量よりも授乳期の飼料摂取量が，繁殖成績の向上のために重要で あることが示唆された。特に，本研究におけるランドレース種に対しては，授乳期の飼料摂取量を増やす工夫 が必要であると考えられる。