ゴマ(Sesamum indicum L.)の生育，収量の成立および リダナンの蓄積に関する研究

摘要

本論文では，ゴマ栽培の基礎理論の確立を目指し，種子収量の成立過程および種子のリグナン含有量の決定経過を 明らかにした.収量の解析にあたり，1個体当たり種子収量を1個体当たり蒴果数，1蒴果当たり種子数および種子1粒重 に，し，蒴果数については主茎蒴果数と分枝蒴果数に，主茎蒴果数を中心果数と側果数に，分枝蒴果数を分枝数および 分枝1本当たり蒴果数に分解した.その結果，栽培環境によって，1蒴果当たり種子数および種子1粒重はほとhど変動 せず，主として1個体当たり蒴果数の変動が種子収量に影響すること，蒴果数の変動には分枝数が最も大きく影響し，次いで分枝1本当たり蒴果数，さらに主茎側果数，主茎中心果数の順に影響力《小さくなることが明らかになった.また，温帯地域のゴマ栽培では，播種期が遅れると短日，低気温および低地温によって開花節数および蒴果数力s'減少して収量低下することが明らかになった.一方，ゴマの発芽が比較的広範囲の温度で順調に起こることから，マルチ栽培では地温が 上昇し，発芽直後の幼植物の成長が促進されて出芽が促進されること，さらに肥料吸収促進効果が加わつて分枝数，開花節数および蒴果数が増加して収量力《増加することが明らかになった.これらから，温帯地域のゴマ栽培にとつて早期播種およびマルチ栽培が必須とも言えるほど重要であることが明らかになつた。リグナン含有量は，種子乾物重の増加に伴つ て増加し，完熟直前の種子の水分減少時に減少することが明らかになり，さらに完熟時の含有量は日長時間および地温の 影響を受けず，低気温によつて増加することが明らかになつた.