臨床現場からの麻酔管理に関する報告：Vol．3

摘要

症例馬は，競走中に榛骨遠位端骨折を発症したものであり，発症より12日後に骨片摘出術を実施した。 術前検査において心拍数は24beat／min．であり，第2度の房室ブロックが認められた。 一般状態および血液所見に異常はみられなかった。 手術日の体重は442kgであり，出走時に比較して著しい減少はなかった。 本症例においては，導入期に著しい徐脈および低血圧状態が認められた。 この状態を改善するために，硫酸アトロピンを投与したところ，頻脈および高血圧に転じて危機的状況に陥うたので，その麻酔管理の概要を報告する。