常酸素下でよく卜レーニングされた サラブレッドに対する低酸素卜レーニングは 最大酸素摂取量を増加させる

摘要

低酸素トレーニングは、ヒトのアスリートにおいて運動能力向上に効果があると考えられている。 我々は、低酸素トレーニングがトレーニングされていない馬の最大酸素摂取量を増加させることを明 らかにした。しかし、よくトレーニングされた馬についてはまだ検討されていない。そこで、非常によくトレーニングされた馬を低酸素下でトレーニングし、その効果を検討した。実験には、週2回の 非常に厳しい常酸素トレーニングによつて最大酸素摂取量が3週間以上にわたつて変化しない5頭の サラブレッドを使用した。低酸素トレーニングは週2回、15%の低酸素下で3週間行われた。低酸素 トレーニングの前後において、最大酸素摂取量などの呼吸循環データをトレツドミル上において測定 した。データは分散分析によって検定された。3週間の低酸素トレーニングにより、体重あたりの最 大酸素摂取量は有意に増加した（178 vs.194 ml/(kgXmin),P<0.05)o1頭あたりの最大酸素摂取量 も同様に増加した（86.6 ± 6.2 vs. 93.6 土 6.6 L/min, P < 0.05)。低酸素トレーニングにより総走行距 離は12%増加したが有意差は認められなかった。また、乳酸値およびへマトクリツト値に有意な変化 は認められなかった。低酸素トレレーニングは、常酸素トレーニングによって最大酸素摂取量がピー クに達している馬においても、最大酸素摂取量を増加させることが可能であった。これらのことから、 低酸素トレーニングはよくトレーニングされたサラブレツドのパフォーマンスを増加させる可能性が 示唆された。