牛の第四胃変位 -病因，病態，診断，治療-

摘要

牛の第四胃変位(DA)は第四胃が腹腔内を左方 (LDA)もしくは右方(RDA)に移動することによって， 第四胃内容の移送機能が障害され様々な症状を呈する 疾患で，乳牛で多くみられる消化器疾患の1つである。DAの歴史的背景をみてみると.1898年のCarougeau ら"による子牛の第四胃捻転が世界で最初の報告とい われており，成牛については1927年にFincher21が発 表したものが最初である。以降，1940年代までほとh ど報告が見当たらないが，1950年に英国獣医師の Fordら3)が,1954年には米国獣医師Mooreら4)が33 例のDAについて報告している。我が国では1961年 の大屋5)の報告が国内初の報告といわれている。