カウ、コンフォートの必要性を考える

摘要

ここ数年，アメリカ酪農を発信源とするカウ、コシフオー卜重視がわが固でも「はやり言葉」となってきている。 本稿では「なぜカウ、コシフオー卜をのか」，「カウ。 コンフォートとはどういう意味か」，「何をとう考えなければいけないのか」の理論を整理する。 家畜生産は，遺伝，栄養，および飼育管理がそれぞれほぼ1／3ずつの寄与を持って実現する。 遺伝的改良は，統計遺伝学という強烈なツールをもつて昭和50年からの牛群検定事業とともに進み，栄養的改善は昭和32年からの数次にわたる日本飼養標準の改訂とともに大幅に進展し，乳量の伸びと連動した泌乳器障害，生殖器障害，代謝障害などの多発をもって今や乳牛の適応限界にまで達したのではないかと，いう学者まで出てきている。 限界に近い遺伝的能力を待った乳牛に，限界に近い高栄養飼料を与える現代酪農にあっては，次に整備されるべき対象は効率性であり，それは牛の環境の整備で実現する。 10年前までは，それは“Environmental Management”といわれ，mano＝手が，age＝関連すること，すなわち飼育環境管理であつた。 立場はまつたく人間側にあり，作業性や経済性も含む概念であった。 しかし，欧州で展開された過去30～40年の家畜福祉研究は，家畜側から環境を見直すことが生産性につながることを明らかこし，アメリカ酪農に牛の生指環境管理であるカウ、コンフォートという革命的概念をもたらしたといえる。