栄養管理と乳牛の繁殖生理

摘要

乳牛の繁殖成績はここ十数年で大きく低下し，受胎率の低下や空胎日数の延長がみられている。 例えば北海道の乳用牛群検定成績（乳検成績）の年次推移では，平成6年（1994年）に空胎日数は127日であったのが，平成16年（2004年）には150日となり，3週間以上も延長している。 この背景として，遺伝的改良による高泌乳化や1農場当たりの飼養頭数が増加したことなどが挙げられている。この10年間で，経産牛1頭当たりの乳量は，年100kgを超えるスピードで増加しているが，乳量の増加を補うための濃厚飼料給与量も同様に増加している。 また，1農場当たりの経産牛頭数は46頭から60頭ほどに増えている。 一方では，自動給餌機や哺乳ロボット，搾乳ロボットなど近代的な機械化やコントラクター，TMRセンター，子牛預託システムなど地域としての生産性を上げるためのシステム導入が進hでいる。 遺伝的改良により乳量は増加し，それを支えるための機械、システムづくりは進歩しているものの，それを管理する「人」が酪農技術の進歩に追いついていない状態にあるものと思われる。