潜在性ルーメンアシドーシスは農場の生産性を著しく低下させる（パート2）

摘要

前回のパート1では，潜在性ルーメンアシドーシス（SARA）は，発生期間が非常に短く（数時間）ても，牛に恒久的なダメージを与える肝膿瘍や後大静脈血栓症，さらには蹄菓炎などの慢性疾患の原因になることを述べた。 　 SARAは，ルーメン内で低級脂肪酸（VFA）生産が急激に起こり，それに伴うVFAの吸収や酸性化を中和するための唾液などのバッファが不十分な結果，ルーメンpHの低下が起こり，それが発生原因となる。 VFAの急激な増加は，デンプンや糖分などを含む発酵の非常に早い穀類などが多く含まれた飼料プログラムを，多量に鋲取した場合に発生する。 また，唾液の分泌量の低下は，粗飼料摂取量の低下による反舞や噛み返しの減少が原因である。 このように，SARAと給与飼料とは非常に深い関係がある。 パート2では，SARA発生を予防するための飼料給与マネジメントについて考えてみたい。