子牛にみられた下顎歯肉部の 血管性過誤腫

摘要

過誤腫とは，腫瘍と奇形の中間的な性格を持つ病変であり，一般的に新生動物にみられる。牛において散発的に 発生しており，その多くは血管性過誤腫である。牛における血管性過誤腫は心臓，肺，脾臓，肝臓，卵巣，精巣な ど，血管が存在する様々な臓器での発生が報告されており，下顎歯肉部も比較的報告が多い発生部位の1つである。過誤腫は，良性腫瘍様病変（benign tumor-like lesion)ともよばれ，急激な拡大や周囲構造への浸潤'破壊が少な い疾患である。牛における下顎歯肉部の血管性過誤腫も，病変の外科的摘出により再発なく治癒することがほとh どであるが，本症例のように再発する場合も報告されている。今回，この再発と関連する病変の浸潤性を，X線検 査およびcomputed tomography (CT)検査を用いて評価し，治療方針に活用したので，その概要を紹介する。