Cyclospora sp. Oita1による 子牛の核内コクシジゥム症

摘要

核内コクシジゥム症の多くは，魚類.両生類.爬虫類の ような下等脊椎動物に認められる。リクガメには致死 的な疾病が認められる力，通常は核内に入るコクシジゥム原虫に病原14はなく， Eimeria hermaniやE. stigmosa は宿主であるガチョウとは共生関係にあると考えられてい る4'5)。哺乳類では核内コクシジゥム症の報告は非常に少 ない力、，ョ—ロッノ《モ：7ラの小腸にCyclospora caryoiytica 力寄生し,肝臓と胆管にはC. toかなeの寄生が認められて いる。これら以外では，E. akbamefisisが牛に感染する ことがあり，ォーシストを大量に摂取すると水様性の下痢 を起こす。最近，中国(広州）の牛の糞便から採取された 直径8 mumのォーシストの遺伝子を調べたところ，霊長類 由来のサイクロスポラ属に近縁で，Cyclospora sp. Guangzhou 1 および 2 と 命名され た9)。 一方，大分県では，水様 性の下痢または発育不全を示す3頭の黒毛和種，去勢雄子 牛の空腸において核内コクシジゥム症が認められ，遺伝子 解析が成功した1例では，塩基配列が中国の牛のコクシジ ゥムに類似しており，E. alabamensisとは違っていた。 そこで，組織学的にE. alabamensisと比較したところ.有性生殖世代に形態学的な違いがみられた""。その後発見さ れた症例においても形態学的な違いを確認できたので，こ のような病原体が存在していることを周知するために今回 の報告を行う。