薬剤感受性モニタリング成績からみる牛呼吸器病治療

摘要

細菌感染症治療に抗菌剤は不可欠であり，両者の関係を断ち切ることは100%不可能であることを考えれば，「耐性菌とどのように向き合う力りが抗菌剤を使う側に課せ られた命題である。ここでは，牛呼吸器病症候群（以下，BRDC)治療の現場における細菌の薬剤耐性対策，具体的 にはNOSAI山形が実施している健康牛を対象とした薬剤 感受性モニタリングの成績を提示しながら，改めて抗菌剤 使用法について考えてみたい。NOSAI山形では一般損害防止事業の一環としてBRDC 起因菌の薬剤感受性をモニタリングしている。主に BRDC多発肉牛農場を対象とし，健康（非罹患）牛の鼻汁 を採取して検査機関に送付するという簡単な作業によって 価値あるデータを入手することができる（写真）。健康牛 を対象とした理由は，分離する病原微生物が上部気道にも ごく普通に生息し，菌種および最小発育阻止濃度(MIC) が下部気道由来のものとほぼ一致することのほか，検体 数確保が容易で，まとめて検査することが可能だからであ る。