産業動物獣医療25年間の発展と未来へのメッセージ

摘要

私が臨床に携わったのは，昭和40年（1965）代の東京オリンピックを契機とした高度成長期の時代であった。 その当時は牛乳の需要拡大が著しく，乳業会社は酪農家をいかに自分の傘下に組み入れて，より多くの乳量を出荷するかでしのぎを削っていた時代である。 よって，在籍した大学家畜病院も産業動物が主体となった診療であった。 また乳牛1東の価格も高かったことから，1頭をいかに診断し治療するかに全力を傾けており，牛の診療は活気に溢れていた。そのような時代背景を今，本誌『臨床獣医』の特集から牛の医療を中心に25年間を振り返ってみると，その時々の時代を背景とした特集が組まれていることが分かり，興味深い。