繁殖豚群へのワクチネーションPCVDコントロールの新しいツール（前編）

摘要

豚サーコウイルス2型（PCV2）は，離乳後多臓器性発育不良症候群（PMWS），増殖性壊死性腸炎（PNP），豚皮膚炎腎症症候群（PDNS），豚呼吸器複合感染症（PRDC），流産および繁殖障害など，多くの疾患症候群に関与している。 これらすべてのものが現在PCV疾患（PCVD）の名前で総称されている。 PCVD，特にPMWSは欧州の生産者に年間6億ユーロもの損害を与えていると推計され，重篤なPMWSの発生は世界中で継続的に起こっている。 今日，PMWSおよびPCVDの発生は主に飼養管理改善により，部分的ではあるがコントロールされてきた。 しかし，市販ワクチンは依然として本疾患を防ぎ，農場の動物を守る安全かつ最も強力なツールのひとつといえる。 母豚用不活化ワクチンが開発され，仮許可のもとフランスやドイツにおける野外試験で使用が開始されてから1年半がたった（2006年7月時点）。 本稿では，本ワクチンに関して知られている知見，概念，実験室内や野外で幅広く実施された効能試験に関して概説を試みたい。