男性獣医師の育児休業経験談-共働き大動物臨床獣医師夫婦の場合-

摘要

この20年ほどの間に女性獣医師は急激に増加して いる（図1)。獣医学生の約半数が女性なのだから当然 である。女性の数が他分野よりも少なかった大動物臨 床においても同様に増加しており，筆者が所属する十 勝農業共済組合（十勝NOSAI)では，2017年時点で36 歳以上の獣医師では女性の割合が6.8%であるのに対 して，35歳以下では34.2%となっている（図2)。あらゆる職種において言えることであるが，もはや 「男性は仕事,女性は家庭」という性別分業体制は一般 的ではなくなつてきている。女性獣医師が妊娠しても離 職することなく働き続けることも珍しくないだろう。 一方，男性獣医師の働き方は何か変わっただろうカゝ。 出産は女性にしかできないが，家事、育児は男性にも できる。また，産前、産後休業は女性しか取得できな いが，育児休業は男性も取得できることが法律で定め られている（図3)。政府は2020年までに男性の育児休 業取得率13%を目指しているが，増加は緩やかであ り，諸外国と比べても取得率は低すぎると言わざるを 得なレゝ（図4)。このような社会情勢のなか，男性獣医 師で育児休業を取得することができたので経験を紹介 したい。