フタテンチビヨコバイの熊本県菊池都内における分布状況と2004年の発生について

摘要

フタテンチビヨコバイはトウモロコシにワラビー萎縮症と呼ばれる生育抑制の被害を引き起こすことで知られている。 1988年に熊本県で飼料用の二期作トウモロコシ栽培が開始されて以来，本種は二期作目のトウモロコシにワラビー萎縮症の被害を引き起こしている。 近年，この被害発生地城は熊本県菊池郡で次第に拡大傾向にあるが，本種の分布状況や発生密度，生活環については不明である。 そこで，2004年に熊本県菊池郡において本種の分布域と発生密度調査を行った。その結果，熊本県菊池郡内のほぼ全域で分布が確認され，生息密度も上昇していることがわかった。 また，本種の周年経過を調べたところ，夏期にはオヒシバ，メヒシバ等のイネ科雑草で増殖し，7月頃から12月までイネ科雑草地で発生し，2004年には10月頃に発生密度のピークがみられた。 近年の分布、発生拡大の原因としては，温暖化傾向，特にここ数年間，年平均気温の変動幅が小さく暖冬傾向が続いたことにより，冬季の生存率が上昇したためと考えられる。