施設栽培ォクラにおけるハモグリバエ類の発生実態 および寄生蜂を用いた生物的防除の可能性

摘要

オクラは主に春夏期に生産される一年生の作物である。鹿児島県では約320haで栽培され，国内最大の生 産地である（農林水産省，2018)。本県の最大の生産 地は，薩摩半島南部に位置する指宿市であり.当市で は約300haの栽培面積を誇る。このうち約lOOhaは施 設栽培であり，2月上旬に播種され6月まで生産され る。オクラの施設栽培では，時としてハモグリバエ類 による甚大な被害が散見される。ところ力、オクラで 発生するハモグリバエ類に対して，殺虫剤は登録され ていない。このため，本害虫発生時に有効な防除手段 を講じられていないこと力，本害虫の多発生を招く一因である可能性が高い。さらに，本県のオクラ栽培で 発生するハモグリバエ類については，発生種さえ特定 できていない。このような現状は.施設栽培オクラに おいてハモグリバエ類による被害が顕在化し，オクラ の生産振興に大きな損害を及ぼすリスクがあることを 示唆しており，速やかな防除対策の確立が必要と言える。