卵を薄く広げる保管方法がイモゾウムシ卵の貯化に及ぼす影響

摘要

沖縄県では，サツマイモの大害虫であり，植物防疫法により特殊病害虫に指定されているイモゾウムシEuscepes postfasciatus（Fairmaire）（甲虫目：ゾウムシ科）の不妊虫放飼法による根絶防除のため，人工飼料を用いた本種の大量増殖法の開発が進められている（山岸、下地，2000）。 我々が目標とする，成虫数にして週あたり100万頭以上の生産が可能な大量増殖法（下地，2004）の確立のためには，採卵，卵の保管，飼料への卵接種，幼虫飼育等の各段階を，飼育虫の生存、発育に大きな悪影響を及ぼさないように簡易化、効率化し，増殖虫の生産にかかる手間とコストを低減させる必要がある（大野ら，2005a）。 本研究では，イモゾウムシ卵の飼料への接種前に必要となる作業における手間の軽減のための，卵の保管状態の変更が貯化に及ぼす影響を検討する。