大腸菌性乳房炎の牛における臨床症状と乳汁中および血液中エンドトキシン濃度

摘要

大腸菌性乳房炎の牛54頭について，初診時の臨床状態をスコア化すると共に，乳汁と血液を採取して，血液パラメーターならびにエンドトキシン（ET）濃度を測定した。 その結果，夜間急患例（n＝9）と日中診療例（n＝45）を比べると，夜間急患例でショックの進展が軽度である傾向にあった。 また，廃用例（n＝8）と治癒例（n＝46）を比較すると，廃用例において，乳汁中および血液中ET濃度の平均が高い傾向であり，病状総スコアも高い傾向であった。 これらのことから，大腸菌性乳房炎の治療において，初診時に血液中ETの排泄を念頭に治療を進めること，および，頻回搾乳を行って乳汁中のETの排泄を促すことの重要性が改めて示唆された。