毒素原性大腸菌不活化ワクチンを接種した牛の凍結乾燥初乳の有用性に関する研究

摘要

新生卜牛の病原性大腸菌による下痢症対策として，妊娠母牛に毒素原性大腸菌不活化ワクチン（K99，FYおよび31Aの3種類の付着因子を含む）を接種し，接種回数と母牛血中および初乳中抗体価の変化について検討するとともに，得られた高度免疫十の初乳を凍結乾燥し，イー午への有用性について検討した。 その結果，ワクチン接種により母牛血中の凝集抗体は急速に上昇したが，初乳中の凝集抗体価を考慮した場合，ワクチンの2回接種が効果的であった。初乳中の凝集抗体価は分娩初回搾乳の初乳中にK99が597．3～1，126．4倍，FYが26，241．4～32，768倍，31Aが9，000～19，114.7倍が認められた。 しかし，24時間後にはほぼ接種前の値に復した。得られた凍結乾燥初乳を子牛へ給与したところ，12～24時間後には各初乳給与区ともに最大ピーク値がみられた。 しかし，子牛の血中ピーク値は2．5L，2．0L，1．0L区の順に高かったが，2．5Lの1回給与では凝集抗体の半減が早く持続期間が短縮された。 したがって，子牛血中に高い凝集佃を維持させるためには，分娩後24時間以内に2L相当量の凍結乾燥初乳を数回給与することが効果的であると考えられた。