繁殖和牛（母牛，初生牛）の脂溶性ビタミンの正常値

摘要

20年前の牛の血清（血漿）は濃厚な標章色を呈し，人の臨床検査センターに検査依頼をすると検査技師の方が「ものすごい黄疸ですね。 」と驚ろくほどであったが，最近ではパイナップルのような薄い黄色を呈している。 血清の黄色は血清中に存在するβ－カロチンによるものであり，黄色味が薄くなるということは血清中のβ－カロチン量が減少していることを意味する。 β－カロチンはどタミンAの前駆物質であり，血漿中の濃度はどタミンEの濃度と高い正の相関があることから，β－カロチンばかりでなく，ビタミンAとどタミンEも減少していることが推測される。 βーカロチンとどタミンEは牧草中に多く含まれている。 粒飼料より摂取されたβ－カロチンの一部は腸管粘膜でどタミンAに転換され肝臓に蓄えられ，残りはそのまま腸管より吸収されて肝臓，黄体，副腎，脂肪などの組織に運ばれる。 ビタミンEは臓器特異性がなく，抗酸化剤として全身的に作用する。