乳牛の難産: 原因，予防，助産および失位整復法

摘要

近年，頭数の増加ゃ大沏化により，乳牛の飼養形 態は多様化し，分娩に伴う子牛の死亡事故率が年々 増加している'。過度な牽―づIによる産道の損傷は， 産褥熱や胎盤停滞を引き起こし，食欲の低下からケ トーシス，第四胃変位などの周産期疾病の発生につ ながり.乳'卜の生産性の維持，向上に対する大きな リスクとなる。しかしながら，乾乳牛および分娩'卜 の管理については，頭数の増加により多忙となった 日常作業に押しやられ，置き去りにされている^場 も少なくない。従来，難産など分娩にかかわる疾患 は，その治療や整復において多くの人数を必要とす る，あるいは，長時間を要することが多かった。近 年，多頭化により多忙を極めている酪農家や獣医師 にとつて.より少ない人数で短時間に整復する技術 が求められてきた。一方で，実際に行われる分娩や1: 理は人の時間的要求を満たすために，助産などの処 置が選択される場面が少なくない。今回，乳'['-の難 産について，その原因と予防，助産および失位^^ 方法について，子牛の健康や母牛の分娩後の生産性 も考慮したうえで，著者が実践してきた技術を中心 に紹介する。