黒毛和種の長期在胎牛に対する 定時分娩誘起法の検討

摘要

黒毛和種長期在胎牛における分娩管理の負担軽減と，事故発生防止を図る目的で，8時から14時の間にプ ロスタグランジンF_(2alpha) (ジノプロスト）25 mg，デキサメサゾン8.3 mg，安息香酸エストラジオール2 mg (経 産牛）または4mg (未経産牛）の3剤同時投与による分娩誘起処置を行った。その結果，処置から娩出までの 所要時間は平均22.0±9.6 (SD)時間であり，87.2% (41/47頭）が処置後30時間以内に胎子を娩出した。また， 娩出時刻も5時から20時の間が83.0% (39/47頭）と多く，深夜の分娩は10.6% ( 5/47頭）と比較的少なかった。 死産の発生もみられなかったことから，3剤同時投与による分娩誘起は，分娩管理の負担軽減と事故発生防 止に有効であると考えられた。