昼間分娩誘起法について：家畜診療52巻11号以後の試みとその成果

摘要

第1破水誘起を目的として，黒毛和種牛91頭にプロスタグランジンF2α15mgとデキサメタゾン5mgを同時投与し，その24時間後に安息香酸エストラジオール（Es）6mgを投与した。 Es投与後第1破水までの時間を測定したが，Es投与以前に第1破水が誘起されたものが15頭で，Es投与牛は76頭になった。 Es投与後10時間以内に第1破水が誘起できたものは76頭中61頭（80.3％）で，その61頭の平均はEs投与後5.0±2.5時間であった。 またEs投与後8～10時間に3頭が人工破水可能であった。 今回の方法では，第1破水後の分娩介助と，第1破水が無い場合でもEs投与後8時間前後の分娩介助で，昼間定時分娩に効果があると思われる。また処置のみ獣医師が行い，後の分娩介助は農家に任すことも十分可能である。