NCCLS－寒天平板希釈法を用いた関節炎型膠丹毒羅患膠由来膠丹毒菌（2003－2005年分離株）の広範な抗菌薬に対する感受性

摘要

2003年8月～2005年12月の間に、と畜検査において主に慢性関節炎型豚丹毒として摘発された豚から分離された豚丹毒菌135株について、人も含めた本菌感染症治療の第一次選択薬であるβ－ラクタム剤を中心に、広範な系統の22薬剤に対する感受性を精度保証、精度管理されたNCCI，S－（現：CIJSI）寒天平板希釈法に準拠し、最小発育阻止濃度（MIC）を求めた。 本論文は、豚丹毒菌株の抗菌薬感受性について、NCCI5一寒天平板希釈法により調べた国内外における最初の報告である。全ての供試菌株は、ペニシリン系（MIC値：0.03～0.5 mu g／ml）及びフルオロキノロン系（MIC億：0.06～0.25 mu g／ml）に対しては高い感受性を示した。 一方、供試135株中、55株（40.7％）は、アミノグリコシド系、マクロライド系、リンコマイシン系又はテトラサイクリン系の6薬剤のいずれかに対して耐性を示した。 その耐性パターンは、DSM、EM、TS、AZM、LCM　 及びOTCの6剤耐性を含む14種類が検出され、一定レベルの多剤耐性化の傾向が依然として続いていることが窺えた。 マウスモデルを用いたin vivo耐性選択試験で分離株とその親株においては、ABPCのMIC及びMBC億には差異は認められなかった。 この事象は、野外の動物においてペニシリン耐性株が出現する可能性は低いことを強く示唆するものである。