細胞内物質送の選別オルガネラMVBエンドソームのダイナミックな膜構造の変化とその制御因子

摘要

真核細胞の細胞內こは，特徴的な構造をもち固有）機能を発揮する楓々なオルガネラが存在する．MVB（multivesicularl body，多胞体）はエンドソームの成熟過程で観察されるオルガネラであー），その形態が名前の由来となっている．すなわち，MVBを区画する膜(限界膜）の内部に小胞がいくつも存在している（図1）．MVB内部小胞は，限界膜がオルガネラの内側に陥人することで形成される＝－2）．その生理的意義は，哺乳動物のEGFR（epidermal growth factor receptor, 上皮成長因子受容体）のダウンレギュレーションの研究から浮き彫りにされた．EGFが細胞膜のEGFRに結合し，「細胞膜から」シグナルが発信されている図をよく目にするが，EGF－EGFRはエンドサイトーシスされてもエンドソームの酸性条件下では解離せず，「エンドソーム膜から」シグナルが発せられている．エンドソーム膜が内側に陥入し，EGF－EGFRが内部小胞に取り込まれることで細胞菌から確実に隔離され，シグナルの停止が保障される.エンドソーム膜の内側への小胞の出芽，すなわちMVB形成は，増殖シグナルの負の制御機構を担う重要なイベントであり，時間的，空間的に制御される必要がある．