大気中co_2濃度の増加が樹木を変える？- 光合成作用や樹木の成長 . 材質などに及ぼす影響を探る

摘要

化石燃料の急激な使用量増加や土地利用形態の変化などに起因する人為的由来のco_2の増加による地球温暖 化の問題が叫ばれ始めて久しい.世界各国がco_2削減対策に頭を悩ませている中，森林樹木による炭素蓄積が期 待されている.樹木は多年生であり，光合成作用により 大気中CO_2を有機物へと変換し，樹体内に何十年，何百 年にわたって蓄積させる.特に，幹は伐採後も木材とし て長期間炭素を貯留した状態を保つことができる.しか し，樹木それ自体が高C0_2濃度環境下で長期間成長する ことを考えると，光合成作用をはじめとして何らかの影 響を受けないはずはない.特に高C0_2濃度環境下で樹木 の成長量や材質が変化するならば，その炭素貯留機能や 木材利用に影響するだろう.環境変動下における樹木の応答について，特に将来予測される大気中C0_2濃度環境 下での応答について早急に解明し，予測を行なう必要が ある.そこで，これまでに世界中で多くのC0_2曝露実験 が行なわれてきた.