愛媛県におけるマダニの分布とマダニ媒介性感染症

摘要

マダニは、ダニ類 の中でも比較的大型 で、成長や産卵のた めヒ卜を含む脊椎動 物の血液を栄養源と して利用する、吸血 性の節足動物です。 この吸血時に各種の 病原体を伝播し、マ ダニ媒介性感染症が 発生します。曰本国 内で発生が見られる 代表的なヒ卜のマダ 二媒介性感染症とし ては、日本紅斑熱、 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ライム病、回帰熱などがありま す。愛媛県においても、日本紅斑熱やSFTSに ついては多くの患者が発生しています。特に、 SFTSは2013年に日本国内での患者発生が確 認されて以来、現在（2016年6月15日時点）ま でに全国で191人の患者が発生し、死亡率が約 30%と高いため注意を要する感染症です。愛媛県では、21例の届出（20名は県内在住者）があ り、患者発生数が多い県です。患者の居住区（保 健所管内）については、図1に示すように南予に 多く、患者がかhきつ栽培など果樹園芸に従事 している場合もあります。ここでは、マダニの生 態、愛媛県でのマダニの分布、マダニ媒介性感染 症とその対策、などについて報告します。