カンキッ園におけるャノネカイガラムシに対する春季の マシン油乳剤およびブプロフエジン水和剤の混用散布による効果

摘要

カンキッの重要害虫であるヤノネカイガラムシUnaspis yanonensis (Kuwana)は，静岡県では2齢幼虫 から雌成虫のステージで越冬する。第1世代1齢幼虫は 5月上中旬に初発し，7月下旬に終息するまで二山型の 発生を示す（西野，1974)o本種を対象とした防除として， 冬季にマシン油の散布（大串ら，1977 ；高木，1981)や， 第1世代（6月）および第2世代（8月）の幼虫発生期 に有機リン剤ゃIGR剤の散布が行われている。IGR剤のブプロフヱジンは昆虫の脱皮を阻害し，産卵 抑制や卵のふ化抑制作用も持つ薬剤として開発された (池田ら，1986)。本剤は，ャノネカイガラムシに対して. 幼虫発生期である5月下旬-6月下旬の散布で効果が確 認されている（湯川,大橋，1991)せ,成虫発生期の散 布による効果は検証されていない。近年，リンゴのクヮ コナカイカラムシPseudococcus comstocki (Kuwana ノに 対して，幼虫発生前の本剤の散布による有効性が見出さ れた（児玉ら，2016)ことから，各種カイガラムシ類に 対しても.このタイミングの散布の有効性について検討 が必要と考えられる。そこで本研究では，ャノネカイガ ラムシ第1世代幼虫の初発前にあたる4月下旬のブプロフヱジン散布の効果を検証した。また，近年はミカンハ ダニ Panonychus citri (McGregor)防除を目的とした4 月のマシン油散布（增井,2018)の頻度が高いことから， マシン油単用とともに，これら2剤の混用散布による防 除効果を合わせて検討した。