勢定時期がナシ黒星病の発生に及ぼす影響

摘要

兵庫県におけるナシ栽培は，主に県北部における青ナシ系品種（二十世紀等）栽培と県南部の神戸市近郊における赤ナシ系品種（幸水，豊水等）からなっている。神戸市近郊の赤ナシ系産地は昭和50年に農家数19戸で始まり，国営事業により約26haが開発された。現在では，「新水」「幸水」「豊水」を主力品種として，それぞれ6．1ha，9．9ha，8．Ohaが植栽され合計24haが栽培されている。　近年，このナシ産地において主に「幸水」及び「豊水」で黒星病が多発生し，経済的被害を与え問題となっている。ナシ栽培において黒星病は，黒斑病と並hで最も重要な病害であることから，薬剤散布を主体とした防除が実施されてきた。なかでも，ステロール脱メチル化阻害剤（以下，DMII剤）は1986年に登場して以来，ナシ黒星病に卓効を示すことから，本病の防除体系における最重要薬剤として位置付けられている。しかし，後藤ら1）によればDMI剤の感受性検定の結果，感受性の高い菌と低い菌が混在していることが示唆されたとしている。したがって，DMI剤に頼った防除体系は耐性菌の出現が懸念されるた吟，他の防除技術の確立が望まれていた。