陸域での放射性セシウ厶および放射性ヨウ素の動態と存在状態

摘要

東北地方太平洋沖地震に伴って生じた東京電力福島第 一原子力発電所（以後，福島原発）の事故により広域に 拡散した元素は，主に沸点が低く揮発性の高い放射性セ シウムおよび放射性ヨウ素である。このうち陸域に沈着 した放射性セシウムの分布は，2011年6, 7月に行われ た文部科学省の調査により明らかになっている1同様 に多量に放出された放射性ヨウ素については，半減期の 短い(131)~I (半減期：8.02日）に加えて，長寿命の(129~)I (半減期：1570万年）を分析することで，その初期的な 分布がある程度判明している2しこれら初期的分布が明 らかにされた後，次に重要になるのは，（i)放射性核種 の二次的移行と（ii)初期的分布および二次的移行に関す るモデリングの二つである。本稿ではこのうち，陸域に おける放射性セシウムおよび放射性ヨウ素の二次的な移 動とそれを支配する因子について述べる。