21世紀における世界の食料生産

摘要

21世紀における世界の食料生産を歴史的視点より考察した。 現時点の世界の穀物生産量は1960年に比べて約2倍に増加しているが、世界の耕作地面積はほぼ一定であった。 窒素肥料の使用量は20世紀後半に急増した。 世界における耕地と単収（単位面積当たりの収穫高）の分布は一定ではない。 ヨーロッパとアジアに多くの農地が存在する。 ヨーロッパの単収は高い。農民一人当たりの耕地面積もまた、世界において一様に分布してはいない。 この格差は極めて大きい。 北アメリカやオセアニアの農民はアジアの農民に比べて10倍から100倍の耕地面積を有している。 世界における農地と単収の分布は、世界において食料増鹿の余地が大きいことを示している。 しかしながら、多くのアジア諸国が先進国の仲間入りをしたとき、アジアの農民の耕地所有面積が少ないことは、世界食料生産にとって大きな問題となる。 現在の世界食料生産システムは21世紀において大きな変革を求められる。