人工DNA結合タンパク質及び人工ヌクレアーゼのウィルス感染防御への応用： ウィルス耐病性植物および抗ウィルス剤の開発

摘要

ウィルスは多種多様なものが存在し，ヒトおよび家畜·農作物に甚大な被害を与え続けているが， その被害は，抑制されるどころカゝ.拡大の途をたどる一方である.そのため.効果的なウィルス対処 法の開発が望まれている.ゥィルスは体内に侵入しても増えなければ発病しないと考えられるので. 我々はウィルスゲノム複製過程に着目し，人工タンパク質を用いて.ウィルス複製を阻害する手法を 新たに開発した.まずは.ウィルスゲノムの複製の開始に必要な.ウィルス複製タンパク質のウィルスゲノム上の複製起点への結合を阻害できる人工DNA結合タンパク質を開発した.この遺伝子を植 物個体および動物細胞に導入することにより.ウィルス複製を効果的に阻害し.植物個体ではウィル ス耐病性を付与することに成功した.また.この人工タンパク質に細胞膜透過能を付与することによ り.新たな抗ウィルスタンパク質製剤を創出した.さらに，人工DNA結合タンパク質にDNA切断 部位を融合することにより.ウィルスゲノムを特異的に切断する人工ヌクレアーゼを創出し.有機化 合物よりも10万倍高い比活性を示す.より効果的な抗ウィルス剤を開発することに成功した.