ジカウィルス一ウィルスと実験室診断

摘要

ジカウィルスが世界的に注目されたのは，2007年のミ クロネシァのヤップ島でのジカ熱（ジカウィルス感染症） の流行であった.しかし，ジカウィルスそのものは1947 年ゥガンダのジ力の森で，ロックフヱラ一研究所が黄熱研 究のための捕哨動物として飼育されていたァカゲザルから 分離された.1頭のァカゲザルが突然発熱したため，黄熱 ウィルスに感染したのではと，ウィルス分離を試みた結果 分離したウィルスがジカウィルス（Zika virus)であった. この最初の分離株（MR766株）uは，その後ロックフェラー 研究所に日本人として戦後初めて留学された大谷明（元国 立感染症研究所所長）先生が，帰国時に凍結乾燥アンプル の状態で分与されたもので，旧予防衛生研究所時代から国 立感染症研究所に50数年間保管されていた.ミクロネシ ァの分離株2)は入手できなかったが，MR766株を起こす ことができた.そこで我々は.MR766株の全長遺伝子配 列（10807bp)を決定し2014年9月にGenBankに登録した (Accession No. LC002520). MR766株を用いてウィルス 遺伝子検出系と抗ジカゥィルスIgM捕捉ELISAを構築できた.