鶏卵卵黄抗体（IgY）を用いた経口受動免疫による虫歯の予防

摘要

う蝕(虫歯)は，現在，ヒト社会でもっとも広範囲に見られる細菌感染症であろう。 その病原菌はmutans streptococci (mutans連鎖球菌)で，口腔内に常在する細菌である。 mutans菌はグルコシルトランスプエラーゼ(GTase)を有し，この酵素が口腔内でsucroseを基質として菌体表面や菌体外に粘着性の強い不溶性グルカンを産生する。 mutans菌はこの不溶性グルカンにより歯面に強固に付着しプラークを形成する。 プラーク内には口腔内の他の常在細菌(乳酸菌など)が混在し，これらの細菌が産生した酸により歯が溶かされ(脱灰)，その結果として虫歯が形成される。