当科における言語療法の臨床的検討 器質性構音障害への取り組みと現状について

摘要

要旨:本論又は2000年9月9日から2002年9月5日までの2年間に,明海大学病院口腔外科学第二講座にて行った言語評価と言語治療についての概要を報告するものである.この期間中, 51名(内50名が男性, 21名が女性)の患者が言語評価を受け,そのうちの24名が言語治療を受けている. 2症例の機能性構音障害患者を除くとはとhどが器質性構音障害患者であった.また, 51名中25名が口唇裂や口蓋裂などの先天性器賀性構音障害であり,年齢は15歳以下の小児に集中していた.また,51名中24名は口腔癌などの後天性の器質性構音障害患者で50歳以上の中高年齢に集中していた.主な口腔の器質性疾患に対する言語評価と言語治療について検討を加えた.その結果,各部位ごとに以下のような結論を得た.(1)口唇や下顎における器質的変異は構音への影響が比較的少ない.(2)口腔癌患者においては,上顎あるいは口蓋のいかなる部位の切除であっても構音に対して重大な影響を与えるが,外科的あるいは補綴的に適切な治療がなされるならば構音障害はかなり軽減しうる.また,口唇口蓋裂患者では成長発育の間,長期的な言語管理が必要であり,しばしばより高い質的改革が求められる.(3)舌は構音にとって重大な働きをしていることから,言切除術に際してはその部位や切除範囲さらに再建方法が構音障害を最小限にとどめるために重要となる.舌口底部で広範囲の欠損をきたす場合には再建術が行われたとしても,舌の機能を維持することば困難な場合が少なくない.