15.果樹のマーカー育ミ

摘要

育種では，生産者や消費者が望むようなよい形質（性質）をもつ品種を育成することが求め られています。しかし，なぜ色、形、味などの形質が品種間で差があるのでしょうか？それ は.いずれも品種間で遺伝子が異なるためです。植物は何万もの遺伝子を持ちますが，そのうちの一部の遺伝子が品種間で異なることが形質の多様性を生み出す原因となっています。20 世紀の生物学の進展は，遺伝子がDNAという物質であることを明らかにしました。この発見 は，育種を行うにあたって，従来のように形質の違いを指標に選抜する代わりに.DNAを解析しその違い（変異）を目 印（マーカー）に選抜がで きることを示しています (図1)。このような手法 をマーカー育種やマーカ一支援選抜(Marker-Assisted Selection)等と呼び，目印 に用いるDNA変異のこと をDNAマーカーと呼びます。